株式投資を始めようと考えている方の中には、投資スパン・投資期間といった言葉を見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。
株式投資は単に株を買うのではなく、買う時期と売る時期のタイミングによって利益が出たり損失が出たりします。
また、株を保有する時間を短・中・長期と変えることで、取引スタイルや買う株の種類も変わるため、事前に投資期間と呼ばれる株の売買に関する時間を設定することが大切です。
投資スパンと投資期間は基本的に同じ意味で、どちらも株式を購入(売り)してから売る(買い戻す)までの期間を指します。
ちなみに株式投資には空売りと呼ばれる売りから始める取引もあり、2種類の方法で投資ができる金融商品です。
株式投資に大切なのは、「時間」に関する要素!
投資期間を考慮しないと損失を拡大させてしまう可能性もあるからです。
しかし、株式投資をこれから始めるにあたって投資スパンの意味を確認しても、どのような点を注意しなければいけないのか、そして初心者におすすめの投資スパンについて知りたいところです。
今回は株式投資初心者が疑問に感じやすい、投資スパンについて基本から解説します。
投資スパンは、短・中・長期の3種類
株式投資の投資スパンには、大きく分けて3種類あります。
しかし初心者・未経験の場合は、1つの基準を覚えておかないと応用や違った考え方も分かりにくい状態です。ですので、基本的な分け方ともいえる3種類の投資スパンをご紹介します。
また、株式投資の基本は、株価が上がったところで売ると利益がでる仕組みです。
例)
- 200円(決済注文・売る)-100円(新規注文・購入)=100円の利益
まずはこの基本を頭に入れた上で、投資スパンについて確認してください。
テクニカル分析とファンダメンタル分析とは
投資スパンをご紹介する前に、予備知識としてテクニカル分析とファンダメンタル分析とは何か、意味を解説します。
- テクニカル分析:株価やデータを基に計算で買い・売りのタイミングを図る
- ファンダメンタル分析:政治や景気などの動きを基に買い・売りのタイミングを図る
そして投資スパンが変わることで、テクニカル分析とファンダメンタル分析どちらを利用するべきか変わります。
短期投資
1つ目の投資スパンは短期投資と呼ばれる方法です。一般的に1日の中で取引を完了させる投資を、短期投資に含めますのこと。また、1取引とは、買い(新規注文)から売りに出す(決済注文)まで完了した状況のことです。
短期投資のイメージはこちら。を以下にご紹介します。
- 例1:ある日の前場と後場で、新規注文から決済注文まで完了。翌日に株を保有しない。
- 例2:ある日の前場のみで取引を完了させる。後場は翌日の取引に向けて市場を監視。
株式を見極めるアプローチの方法として、政治や景気を見て判断する、「ファンダメンタル分析」という手法があります。
例えば、アメリカのトランプ大統領などの重要人物の発言やEU離脱、日本ではZOZOをヤフーが買収したりと、ニュースをもとに各国の状況、株価の値上がり・値下がりを予測するというもの。
そして短期投資の特徴は、このファンダメンタル要素=政治や景気の影響(ファンダメンタル要素とも呼びます)を受けにくいところでしょう。
なぜなら、株式市場を短期的に見ると、一日や二日では変わる可能性の低い政治や景気、企業の業績よりも投資家の需給状況に左右される傾向だからです。
短期投資における投資家の需給状況とは、株価やチャート(テクニカル要素)などから投資家が買いたいと思う状態(需要)と売りたいと思う状態(供給)に左右されます。
なぜなら政治や景気より、投資家の買いたい・売りたい心理の方が、短期的に大きな影響を与えるからです。
中長期的な予測や決算情報を確認する必要が無い一方、薄利多売による利益を積み上げが必要になるため、少なくとも100万円、1000万円の資金を用意しなければいけません。
その理由ですが、1日の価格変動は1円や2円など非常に小さいことが多く、少額投資では手数料コストで損失になってしまいます。
ですので100万円や1000万円といった、まとまった資金が短期投資に必要なのです。
中期投資
2つ目の投資スパンは中期投資と呼ばれる方法です。一般的に2日から1週間、場合によっては1ヶ月単位で取引を完了させます。
以下に取引例をご紹介します。
- 例1:ある日に購入、2日後に売却
- 例2;ある日に購入、1週間後に売却と同時に新たに購入
- 例3:1日に購入、月末もしくは来月1日頃に売却
1日単位の取引は、中期投資というイメージに繋がりにくいところですが、短期投資の基準を含めて考えると中期投資に該当します。
中期投資の場合は、投資家の需給状況と企業業績や政治、景気のどちらの要素にも影響を受けるため、テクニカル分析とファンダメンタル分析どちらの知識や技術も必要です。
しかし初心者に始めやすい投資スパンでもあり、比較的余裕をもって投資ができたり自己資金10万円でも1ヶ月あたり1万円以上の利益を狙ったりできます。(利益については市場や相場状況によって異なります。)
長期投資
3つ目の投資スパンは長期投資と呼ばれる方法です。一般的に半年や1年・数年単位で株式を保有します。中には10年や20年単位で保有しているケースもあり、長期的な投資を検討している方におすすめです。
長期投資の特徴は、投資家の需給状況などテクニカル要素よりも、景気や国際情勢、企業の業績、企業が展開している事業と業界の動きによって大きく影響する点でしょう。
チャートの単位は1年や5年単位と、大きなスケールで見るため1日や1ヶ月程度に起きた変化は非常に小さく、売買戦略に影響しません。それよりも、政府の経済政策や企業の業績、長期目標などが1年単位で徐々に株価へ影響を与えます。
補足
チャートとは株価をグラフに表したもので、縦軸が価格、横軸が時間です。
そしてスケールとは、たとえば1ヶ月間のチャートや1日のチャートなど、時間の幅を設定したものです。
- スケール1日の場合:1分や5分刻みで株価が表示される
- スケール1ヶ月の場合:1日や2日といった単位で株価がまとめて表示される
たとえば1分や5分刻みで見ると大きな変動に感じても、1週間や1ヶ月単位に変えると非常に小さな変動に感じるなど、スケールの設定によって見え方が変わります。
ですので、会社四季報や日々の経済ニュース、企業・業界動向など経済やビジネス・政治について常に情報収集をし、深く知ることが必須です。
資金については10万円や1万円でも、2倍や10倍の資産へ伸びることがあるので、目標額に対して少額投資でも達成可能な場合もあります。
投資スパンを決めた方がよいのはなぜ?
続いて株式投資を始める際に、なぜ投資スパンを決める必要があるのか分かりやすく解説します。投資スパンは、損失を抑え利益を伸ばす上で、重要な要素ですので初心者の段階で理解しておきましょう。
投資スパンによって分析方法が異なる
投資スパンを決めておくべき理由の1つは、各投資スパンによって適した分析方法が異なるためです。
- 短期投資:主にテクニカル分析を活用。
- 中期投資:テクニカル分析とファンダメンタル分析を併用することが多い。
- 長期投資:主にファンダメンタル分析を活用。
仮に短期投資にファンダメンタル分析を活用した場合にどうなるのか。その場合、損失リスクを高める原因になるでしょう。
短期投資は1分や5分といったスケールでチャートを監視します。そして、1分や5分足といった短いスケールで株価を見ると、その場の需給状況で変動していることが分かります。
一方ファンダメンタル要素は、基本的に数日や1週間、長いと1ヶ月以上のスパンで株価に影響を与える情報ばかりです。その情報を、1分や5分のスケールに当てはめても、役に立たないばかりか分析や予測もできません。
投資スパンによって適した銘柄=会社が異なる
投資スパンを決める理由は、銘柄選びにも関係があるからです。非常に多数の銘柄が上場されていますが、株価や価格変動のスパンなど基本情報だけを見てもそれぞれ異なっています。
たとえば、1日に10円や100円動く銘柄もあれば、1日に0円から2円程度しか動かない銘柄もあります。
そして短期投資の場合は、1日の値動きに関して激しい銘柄を選んだ方がメリットに繋がりますが、中期投資の場合はリスクに変わる点に気を付けましょう。
つまり短期投資は価格変動が激しい銘柄であるほど、値上がり益を得やすく過去の業績や実績を考慮しません。一方中長期投資は、時間をかけるので価格変動が激しく長期的に予測できない銘柄は、売買候補として最適とはいえないでしょう。
- 短期投資:1日の値動きが激しい銘柄を選ぶ。1日10円など。
- 中期投資:2日や数週間単位でゆるやかな上昇相場。1日に数円程度でも可。
- 長期投資:1日の値動きがほとんどない。1年単位で見た時に値動きしていることが分かる程度。
投資資金や方向性が異なる
投資スパンを決めると、必要な投資資金や投資の方向性に関しても大きく変わります。
たとえば短期投資の場合は薄利多売のため、100万円や1000万円以上の資金が必要ですが、中長期投資は10万円でも比較的取引しやすい傾向です。
つまり1日の価格変動は小さいものの、1ヶ月や1年と長いスパンで株式を保有すると、大きな変動へと変わります。そのため10万円などの少額でも、1年や2年経過すると数万円~数10万円の利益になることもあります。(損失リスクもあります。)
また、長期投資は将来の住宅購入や老後の資産設計に合った方向性で、短期投資は副業やすぐ大きく儲けたい方に合った方向性でしょう。もちろん方向性は、人によって異なるため短期投資で老後の資産設計を目指すことも間違っていません。
しかし、一般的に投資スパンは、投資資金と投資の方向性に大きな影響を与えるため、事前に決めておくことをおすすめします。
初心者におすすめの投資スパンは、「中期投資」!
投資スパンの重要性が理解できたら、初心者におすすめの投資スパンについても知っておきましょう。
初心者は中期もしくは長期投資がおすすめ
株式投資初心者には、中長期投資がおすすめです。(投資判断は自己責任です。)
なぜなら、短期投資は瞬時の判断が必要で、多数のテクニカル分析ツールを組み合わせながら予測・売買戦略を行わなければいけないからです。また、仕事がある方にとっては、難しい時間配分でしょう。(基本的に一日中パソコンに張り付いていられるような専業トレーダー向け)
一方、中長期投資は、少なくとも1日の余裕がありますし数分単位で売買しません。また、副業向けでもあります。じっくり投資戦略を立てたり、購入した株の株価を日々眺めたりしながらじっくり推移を確認できます。
そして長期投資に関しては、結果を知るまでに時間が掛かりすぎるため、自身の判断が合っているのかどうか確認しにくいデメリットもあります。
そのため、適度に反省と改善ができる中期投資を検討してみてはいかがでしょうか。
株式投資の投資スパンをよく理解した上で投資計画を立てるのがおすすめ
株式投資を始める人、あるいはすでに始めた方の中には投資スパンについて良く分かっていない・悩んでいるのではないでしょうか。
投資スパンは投資の方向性や使用するツール、必要な自己資金まで決まる重要な要素の1つです。
そして初心者や少額投資におすすめの投資スパンは、中期投資です。
たとえば平日仕事の方は、土日に投資計画を立てて月曜日に発注、火曜日から金曜日にかけて保有します。そして値上がりしていれば翌週も保有、値下がりしていれば金曜日までに損切するなど、働きながらでも丁度いいタイミングで判断が可能です。
投資資金を用意できたら、投資スパンについてじっくり考えてみましょう。
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