これから資産運用を始めてみようか考えている方の中には、FXという言葉に興味を抱いているのではないでしょうか。しかし、何となくハイリスク・危険なイメージを持つ方も多いかと思います。
FXは円やドルなど、通貨同士を売買することで利益を得る取引です。もちろん、損失を被ることもあるので、ハイリスクというイメージは間違っていません。
ただし、単にハイリスクということではなく、基礎から学んでいけばリスクとリターンのバランスを考えながら取引するのも可能な金融商品です。
そこで今回は、FXを知らない方に向けて、FXの意味から順番に解説していきます。
FXとは、さまざまなお金の価値の変動を見て売買するもの!
まずはFXとは何か、ルールや通貨の意味も含めて解説します。FXはForeign eXchangeの略称で、外貨を売買することで利益を得る取引です。
スピード感のある取引ができるところや、値動きの激しさから専業トレーダーに転身している方もいます。
外貨(法定通貨)を売買することで利益を得る金融商品
FX(Foreign eXchange)は、日本語で外国為替証拠金取引と読みます。短くまとめると外国の通貨を証拠金によって取引するのが、FX取引の仕組みです。
しかし、これだけでは「さっぱりわからない!」と感じる方が大多数だと思いますので、より細かく解説します。
通貨には円やドルなど、各国さまざまな種類があります。そして各国の通貨は単位や価格が違うため、海外旅行する際に両替しますよね。
しかし、価値を比較できなければ両替できません。そこでレート(価格・価値)を定めました。
例)
- 1ドル/100円
- 1ユーロ/100円
このように現代では各国の通貨同士を一目で確認できます。しかし、通貨は固定レートではありません。つまり1ドル100円の時や1ドル99円、1ドル110円など、秒単位で価格変動しています。
この価格変動を利用した取引がFXです。
たとえば1ドル100円の時に1ドルを購入し、1ドル120円の時に1ドルを売ると20円の利益が発生します。
- 120-100=20円の利益
補足
為替とは手形のことで、現金を使わずに取引を行う際に為替取引と呼んで、やり取りします。日本の場合は、江戸時代に発展したシステムで、直接現金(小判など)で取引すると盗難や強盗の危険がありました。
そこで手元に現金がなくても取引ができるよう、為替手形を使い取引を進めるようになります。FXの場合は全てデジタル化されているため、データとして処理されます。
各国の通貨は常に価格変動している
FXは価格変動を利用した取引と説明しましたが、なぜ価格変動するのか?
それは各国の経済・政治・軍事で起きている事象が、間接的に通貨へ影響を与えているからです。
こちらに例を交えて価格変動の流れを解説します。
例)(実際の事象ではありません。)
- アメリカの雇用状況が悪化しているという情報が世界的に流れる
- 世界中の投資家が景気悪化を懸念する
- ドルを保有している投資家は、安定した経済状況といえる国が発行している通貨を買いたいと考える
- ドルが売られ、円やユーロが買われ始める
- ドルの価値が下がる(ドル安)
- 円やユーロなど他の通貨価値が相対的に上がる(円高・ユーロ高)
円安・円高とはどういう状態かを簡単にここに入れる?
しかし、FXの分かりにくいポイントがこの中にあります。
それは「相対的」というポイントです。
誰もがテレビのニュースで見たり聞いたりしたことがある、「本日のドル円は円安ドル高…」といった言葉。円安やドル高というのは、相手の通貨に対して価値が変動していることを示しています。
しかし、投資家にとっては円の価値が下がる円安が、必ずしも損失とはいえません。
たとえば、1ドル100円から1ドル120円に変化し、円安という状態になっているとします。つまり100円で1ドルを交換できた状態が、120円を用意しないと1ドルと交換できません。
この場合各立場から見ると、全く違う結果になります。
- 輸入業者から見ると、輸入コストが上がり損失に繋がる
- 輸出業者から見ると、輸出コストが下がり売上アップに繋がる
- 円でドルを購入している投資家は、円の価格が上がり利益に繋がる
- ドルを売って円を購入している投資家は、ドルの価格が下がり損失に繋がる
- 円でユーロを購入している投資家は、直接的に影響を受けない(状況による)
ポイント
簡単に説明すると買いから取引を始めれば、円安で利益に繋がり円高で損失に繋がります。(たとえば1ドル100円の時に1ドルを購入し、1ドル120円の時に1ドルを売ると20円の利益が発生します。)
最初は全てを理解する必要はありません。重要なのは通貨の価値が変わったからといって、単純に利益・損失が決まっていないという点です。
証拠金取引とは自己資金を預けて借金する取引
FXは、証拠金取引と呼ばれる仕組みで、取引を支えています。
証拠金取引とは、あなたが用意した資金をFX会社や証券会社に預け、同じ金額もしくは2倍や3倍になった金額の円やドル・ユーロを借りて、取引を行います。
つまり、自己資金は担保のようなもので、実際の取引に活用しません。あくまで自己資金と同額か2倍・3倍のお金を借りながら取引を進めるルールです。
証拠金取引には条件があり、必要証拠金以上の資金を用意しなければFXを始めることはできません。
必要証拠金とは、最低限FX会社や証券会社に預けなければいけない自己資金のことで、各FX会社・証券会社によって変わっています。
SBIFXトレードの場合は、以下のようなルールです。
- 各レート×レバレッジ=必要証拠金
- 必要証拠金×保有数量=取引必要証拠金
※SBIFXトレードの場合は、取引必要証拠金が最低限用意しなくてはいけない資金量となります。
必要証拠金の計算方法は、各FX会社や証券会社によって異なる部分があるため、口座開設前に確認しておきましょう。
補足
レバレッジとは倍率のことで、自己資金の4倍や5倍といった取引を行えるシステムです。利益と損失どちらも4倍や5倍になるため、ハイリスク・ハイリターンな取引という特徴があります。
FXの特徴
続いては、FXの主な特徴を分かりやすく解説します。最初はスプレッドや差金決済を中心に理解しておきましょう。
差金決済を採用
FXで採用されている差金決済とは、取引の結果に応じて自己資金が増減するシステムのことです。
こちらに分かりやすく解説します。
例)
- 買いの注文を入れる
- ドルを購入(買いポジションを保有)
- 売りの注文を入れる(売りポジションを保有)
- ドルを売って円を買い戻す
- 利益が確定、この時に初めて自己資金額が変動
このように差金決済方式の場合は、取引を行っている途中に自己資金が増減することはありません。あくまで買いと売りの取引が完了した段階で、自己資金が増えたり減ったりします。
ただし実際の取引では目に見えないためあまり意識しませんし、知らなくても取引は始められます。しかし基礎を理解するという意味で、覚えておきましょう。
スプレッドコストがある
FXにはスプレッドというシステムがあります。
スプレッドとは買いと売りの価格差のことで、2種類の価格が常に表示されているのが特徴です。
例)
- 買いの価格:1ドル100円
- 売りの価格:1ドル99円
- 買いは安く、売りは高い状態で常に価格差が発生している
- 買いの価格1ドル100円で購入
- 売りの価格が1ドル101円以上になるまで待つ
- 売りの価格が1ドル101円以上になったので、売りの注文を入れる
- 1円の利益
買い注文を入れる時は、買いの画面で表示されている価格で購入します。そして、売り注文を入れる時は、売りの画面で表示されている価格で取引します。
しかし、例のような状態では損失が発生する状態です。
ですので、「売りの価格」が買い注文を入れた時の、「買いの価格」より高くなるまで待つ必要があります。
買いと売りどちらからでも始められる
FXは買い注文と売り注文、どちらからでも始められるのが特徴でありメリットです。また、FXはポジションを保有するといった呼び方で、買いと売りを表記します。
円ドルを例に利益が発生する流れを、買いと売り両方のケースから解説します。
- 円を買ってドルを売る:1ドル100円で購入した場合、100円より上がれば利益となる
- 円を売ってドルを買い戻す:1ドル100円で売った場合、100円より下がれば利益となる
つまり円を買う取引から始める場合は、円安になるほど利益が出る仕組みです。一方、円を売る取引から始めた場合は、円高になるほど利益がでます。
【まとめ】FXは複雑な仕組みだが1つ1つ理解すれば取引を始められる!
今回ご紹介した内容は、FXの基本の一部です。
まだまだFXを始める前に覚えるべき内容や用語はありますが、とりあえず最初はFXとは何を取り扱っている金融商品なのか、その部分だけでも把握してください。
また、円安や円高は、ドルやユーロなど相対的に見て価値が変わっているということです。そのため、ドルを基準すると円安に見えても、ユーロを基準にすると円安ではないこともあります。
ハイリスクな金融商品ですので、焦らず基礎から理解するのがおすすめです。
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